「ふぅ・・・」



額の汗を拭き一区切りつけ立ち上がる。
よし、吐息を吐き振り返る。



「ひゃあ!」



誰もいなかったはずの店内に、一人の男性が立っていた。
び、び、びっくりしたぁ!
気づかなかった。
いつの間に・・・。




「す、す、すみません・・・」



男の人はオロオロと肩を竦め縮こまる。
私は佇まいを正す。



「い、いえ。いらっしゃいませ」



私は慌ててその人の前に座った。
座ると丁度土間に立っている男の人と背丈が揃う。


男の人は顔を俯かせ小さく頭を下げた。



「ここに来れば、成仏できるって聞いて・・・」




男の人は、そう呟いた。