その人の、物語・・・。
これが、その物語ってこと?
え・・・?
「奏音さん、店番はどう?」
どこかからか戻ってきたのか、浅葱が顔を覗かせた。
私は、呆然とその本を両手に持ち座り込んでいた。
「あれ?もしかして誰か来た?」
「あ・・・あ、の」
「それ・・・。もしかして、それ、奏音さんが?」
驚いたように目を見開き、私の手元の本を覗き込む。
やっぱり、これが、浅葱が言っていた本なんだ。
でも、これって、未練を晴らして成仏できる時って言ってたのに。
「でも、あの、私・・・」
「僕の力を使わなくても、未練が晴らすことができれば成仏することは可能なんだよ」
私の聞きたいことを汲み、浅葱がそう答えてくれる。
じゃあ、茜ちゃんは成仏したということ?
でも、茜ちゃんの未練は・・・心残りは・・・。


