「黄泉屋書店って、一体なんなの?」
「心残りを残して亡くなった人の魂は、彷徨っているうちにその心残りだけを強く残してその他の記憶を一切なくして行ってしまうんだ」
「記憶・・・」
「そう。でも、そうなると、成仏はできないんだ。だから、僕がその人の魂の記憶を拾って、その人に返す。心残りも、できる事なら解決してあげられるんだけど、どうしても無理なこともある。でも、できるだけ心穏やかにして成仏する手伝いをするんだ」
成仏のお手伝い。
そうか・・・。
私だって、今死んじゃったら思い残すことはたくさんある。
簡単に成仏しろって言われても、そんなのできない。
それでも、成仏した方がいいって思えるように、そのお手伝いをするってことかな。
「そのお代として、僕たちは、その人たちの物語をいただくんだ」
「物語・・・?」
「そう。その人の一生が、物語となって一冊の本になる。その人の、人生が魂のすべてがそこに記されるんだ」
「だから、書店なんだ・・・」
人の一生が書かれた本が置いてあるってこと。
その人が、生まれて死ぬまでのたくさんの事が。
想いが、葛藤が、すべて記されている。
それは、悲しい物語か、幸せな物語か。
いったい、どっちなのだろう。


