道なんて、知らないはずなのに。
私はまっすぐ迷いなく歩き出す。


こっちに、浅葱がいる気がする。



はやる気持ちを抑えながら、私は歩き続けた。



歩き出してしばらくすると、その先に、淡い光を見つけた。
私は、思わず駈け出すと、その光の先に見覚えのある景色が広がった。




「・・・黄泉屋書店!」




広い長閑な田舎の景色のど真ん中。
ひっそりとたたずむ日本家屋。



見覚えのあるその場所は、紛れもなく黄泉屋書店。
浅葱のいる場所。




玄関を勢いよく開き中にはいる。
どれもこれも、見覚えがある。


ああ、私はここに戻ってきたんだ。
忘れてしまっていたけれど、確かにこの場所に私はいた。



ここで、暮らしていた。