ふと思いついたことを尋ねると、お父さんは目を丸くした。
「え?あれ?違うんですか・・・?」
思わず呟いた名前に、浅日さんは「父を知ってるんですか?」って言ったからてっきり名前が浅葱さんなんだと思ったんだけど。
ちがったんだろうか。
「ああ、違うんだよ。奏音ちゃんが、僕を見て浅葱って呟いたから、てっきり知り合いなのかと思って」
「あら、そうなの?」
「でも、違うみたい。奏音ちゃん、ごめんね、君に言った父って言うのは、違う人の事なんだ」
違う人?
どういう意味か分からず首をかしげる。
「僕を育ててくれたのは父さんなんだけど、血がつながっている父が別にいるんだ」
「え・・・?」
「僕が生まれる前に亡くなったんだけど。その人が、浅葱って言う名前なんだ」
「あ、そうだったんですか・・・。すみません。込み入ったこと聞いちゃって」
「いいんだ。隠している事じゃないし。僕にとっては二人とも本当の父に違いないんだから」
温かいと思った。
この家族そのものが。


