「それより、なにか、思い出した・・・?」 浅葱が、伺うように尋ねる。 私は、少し考え込む。 思い、出した? なにを? 「なにを・・・?」 「わからなければ、いいんだ」 浅葱は、切なげに眉を下げるとそう言った。 なんの話? 浅葱に言われ、倒れる前の事を思い返す。 徳永さんを見送って・・・。 浅葱と帰ろうとしていて。 それから・・・。 覚えてない。 急に頭が痛くなったんだ。 それしか、覚えてない・・・。