「これ・・・」

「あんたが出てたドラマとか、舞台とか録画したりパンフレットをとってたり。片隅に名前が載ってるだけのものまでとっているのよ」

「父さん・・・」

「あの人は、口下手だからね。面と向かって応援してるなんて言えなかったのね」



奥さんは、懐かしむように表情を緩める。
奥さんは、わかってたんだ。

夫婦って、そういうものなのかな。
長年連れ添うと相手の考えることもわかってくるようなものなのかな。




「俺・・・、最後に会った時、おやじに酷いこと言った。好きで父さんの子どもに生まれたわけじゃないって、ひどいことを・・・」

「・・・お父さんだってわかってたわよ。本心じゃないことくらい。お父さんだって、同じなんだからお互い様よ」




ズキン。
胸が、痛い。

あれ、なんで?
どうしたんだろう・・・。
なんか、変・・・。



でも、その違和感はすぐに消えた。


いったい、なんだったんだろう。