「父さんは、俺たち家族を護ってくれてた。護ろうとしてくれてたからこそ、ああやって口うるさいことも言ってたんだって、今更わかったよ」



信一さんの瞳にもうっすら涙が浮かぶ。
後ろで信一さんの様子を見守っている奥さんの瞳にも。



「俺、父さんに負けないくらい家族の事護れる父親になるよ。父さんが、俺を愛してくれたように」

「信一・・・」



声が、届かないのがもどかしい。
姿が見えないのがもどかしい。

いつも思う。
そのもどかしい思い。




「ほんとよ。お父さんったら、こんなもの隠してたのよ」



その時、奥さんが大きな箱を持って戻ってきた。
それを見た瞬間、徳永さんの顔色が変わる。



「おい、それっ!」



思わず手を伸ばすが、もちろん誰も気づかない。
見られると、まずいものなんだろうか。
少し気になって近づいた。