「あまり、浅葱の事を詮索しないでください」


店番に戻り、ぼんやりと待っていると、暁がやってきて厳しい表情でそう言った。
詮索って、浅葱が何かって聞いたこと?



「詮索って・・・別にそんなつもりじゃ」

「とにかく、浅葱が何者であるか、あなたには関係ないことですから。踏み込まないでください」

「・・・わかったわよ。そんなに怒らなくてもいいでしょ」



なにがいけないって言うのよ。
怖い顔しちゃって。




「怒るほどの事なんです!」

「どうして・・・」

「それも、あなたが知らなくてもいいことですから。あなたは早く、記憶を取り戻して自分の戻るべき場所に戻ってください」

「記憶を取り戻してって・・・、私は記憶は失くしてないってば」



暁はそのまま踵を返していってしまった。
なんなのよ、もう。

最近、私が来たからって店番蔑ろにしすぎじゃない?
暁だって手伝ってくれたらいいのに。