「それが、見当たらなくて・・・」

「やっぱ、事故の時に持ってたものだから別のところにあるのかな」

「別の部屋も探してみましょう」



私たちは、ゆめかさんの案内で家の中を歩き回る。
でも、それらしきものは見当たらなかった。

家の人は、今ちょうど出かけている様で人の気配がない。



「ここが、最後の部屋です・・・」




1階の和室らしいその部屋の襖を開く。
その先に飛び込んできた光景に、息が詰まった。




小さな仏壇。
そこに、目の前にいるゆめかさんの写真が飾ってある。



どこか、わかってはいても実感がなかった。
目の前にいるゆめかさんが亡くなっているって。


現実を、目の当たりにして胸が詰まった。




「・・・、これです」



ゆめかさんは気にしないようにそう言って中にはいると鞄を指さした。
ボロボロの鞄。
事故の悲惨さを物語っていた。