「榎本さん?」


突然名前を呼ばれ顔を上げると、目の前に桐谷くんが立っていた。

昨日のことが甦ってきてイラッとしてしまう。


「お、おはよう」


「おはよ。何してんの?」


「何って…掃除だよ。美化委員の当番だから」


「へ~榎本さんって真面目だよね?そーいうの普通みんなサボるじゃん」


桐谷くんに言われると何でも嫌みに聞こえてしまう…


眠そうにあくびをしながら上履きに履き替えていた。


「てかさ、昨日急に帰んなよ。俺ホームに一人取り残されてポカーンだったんだけど」


「あ、ご…ごめん…」


って、何で私が謝らなきゃないの!?


そしてなぜか桐谷君は、そんな私を見てほくそ笑んでいる様子。

何がおかしいわけ!?