梅「ウチは、何も言い残す事はあらしまへん」
 芹「土方。近藤に、“新選組を頼む”と・・・伝えてくれ」
 土「分かったぜ。芹沢さんよ」
 それぞれの遺言を聞き入れた後、いよいよ始める。
 歩「・・・では、始めますぞ」
 『如月』を正眼に構え、念じながら呪を唱える。 すると、『如月』の刀身から桜色の霊気が発せられ、芹沢とお梅さんを包んでいく。 そして、自身に眠る龍の本性を少しだけ解放し金眼の状態で、『如月』の刀身に手を翳すと、二人の胸元から浅葱色と緋色に輝く何かがそれぞれ、出てきた。
 歩「我は召す。慈悲をもって其らを導きし、天神の采配を」
 そのまま、静かな舞を舞い始める。 ゆったりとした動作でクルクルと回りながら、『如月』を静かに天空に掲げる。 それを合図にするかの様に、二人の胸元から出てきた光の塊達は雨空の中を、天空へと昇っていった。
 歩(どうか、二人でお幸せに)
その思いで背後に横たわる二人を見てみると、二人は寄り添いながら亡くなっているというのに、まるで眠っているかの様に安らかな死に顔だった。
 歩「・・・・・・終わりました。離れの四人と合流して、八木邸へ帰りましょう」
 土「!あ、あぁ・・・そうだな」
何で、ボケーっとしてたんだ? まぁいいけど。






 四人と合流して八木邸に帰ると、近藤さん達が心配そうな顔をして待っていた。
 土「終わった・・・・・・」
 近「そうか・・・ご苦労だったな、皆」
 源「怪我は無いかい?」
 歩「大丈夫です。ご安心を」
結果を報告し、自分の家に帰ってきたという安心感からか。
 歩「はっくしっ!!」
盛大なくしゃみを一発。
 近「風邪を引いてはまずい。早く休みなさい」
 見かねた近藤さんの助言に従い、部屋に戻って早々に寝た。