やがて歓迎会という名の宴会が終わり、芸者姿から普段の男装姿に着替えた私は幹部と共に屯所へ帰り、さっきの話題を口にする。
 歩「さっき、総司から日付を教えてもらって思い出したのです。近いうちに事件が起こります」
 土「・・・で、何を思い出したってんだ?」
 山「事件・・・というと?」
軽く深呼吸して、早口に話す。
 歩「近いうちに、大坂で壬生浪士組を名乗る輩が現れます」
 近「何だと?!」
 土「そいつぁ見過ごせねぇ」
うわぁ、すごい殺気。息が詰まりそう。
 歩「皆さん、落ち着いて下さい。問題はその後です!」
 ぴしゃりと言い放ち、仕切り直す。
 土「す、すまねぇ」
 歩「壬生浪士組はこの不届き者を成敗した後、屋形船を一艘貸切状態にして宴会を催すのですが、同席していた一が腹痛を訴えたので近くの岸へ舟を寄せ、そこへ宿へ戻る途中の橋を通過中に、現地で興行していた力士と口論になり殺傷してしまったという事件が起こるのです」
 山「大事ではありませんか」
 話しを聞き終えた山南さんが、ずれた眼鏡を直しながらぼやく。
 歩「まぁ、壬生浪士組最初の事件と言われていますからね。私がいた未来では、『大坂力士乱闘事件』と呼ばれています」
 土「それに向かう者は?」
 歩「確か、芹沢を筆頭に総司・新八さん・一。後、芹沢を支持する副長助勤が何名かが向かう事になっている筈です。もしも芹沢が私と同じ様な事を話し出したら、上手くシラを切って下さい」
 全:(゜-゜)(。_。)
 変なところで行動がハモるな、この人達。