歩「あれ・・・、どこも痛くない??」
 いくら待てども、衝撃と激痛が襲ってこないのを不審に感じた私は、取り敢えず現状を確認する為、きつく閉じていた目をおそるおそる開く。そこには、全く別の光景が広がっていた。


 背の低い平屋建ての建物に、色とりどりの着物を着た女の人。ちょんまげを結って袴を履いている男の人。腰に差している刀。さながら、時代劇のセットだ。撮影かとも思ったが、ジロジロ見られている所を見ると、どうも違うらしい。だとすると、可能性は2つ。1つ目は夢、もう1つは・・・
 歩「江戸時代へ、タイムスリップ・・・・・・??」
 ないないないない!!!ってか、そんな事があってたまるかーー!!夢なら覚めてーー!!!そんな願いを込め、自分の頬を引っ張ってみる。
 グイッ
 歩「いひゃい、げんひつか(訳:痛い、現実か)」
 痛みから現実と悟り、諦め半分で溜め息を盛大に吐いた、その時だった。

 浪「もしかして、1人?」
 気がつくと、いかにもガラが悪そうなちょんまげ野郎(←失礼さん)が、私に声を掛けていた。数は3~4人。
 歩「そうですが・・・、何か用ですか?」
 ちょっと普通さ、このシリアスな空気を読むでしょう?つーか、読めや。というより、こういう奴って、いつの時代にもいるのね~。少し感心するわ。
 浪「良かったら、俺らとイイ事しない?」
やっぱり、そう来るか。こういう奴と関わるとロクな事が無いんだよね~。なので、
 歩「お断りします。他をあたって下さい」
 私は誘いを一刀両断し、足早にその場を去ろうとした。
 浪「生意気な奴だな。大人しく、言うことを聞けば良かったものを・・・・・・殺れ!」
 そう言って彼らは、腰に差した刀を引き抜き、私に斬りかかってきた。
 ちょっと怖い、怖いって!!