心温【短編】完



首を掴む腕を叩き、爪をたて逃れようとするがびくともせず徐々に締められていく。


息が苦しくなり涙が出てきた。


彼女にはそれが苦しからなのか悲しさからなのかわからない。止まることなく流れ続けた。



「……お…願い…。やめ…て…」



彼が腰に常に吊るしている剣の柄に手をかけ引き抜く。




「…っ、……」




彼女は彼の名を呼ぶことは出来なかった。