よかった…。誰もいなくて…。




教室は昼間の賑やかさが嘘のように静まり返っていた。




校長先生に刃向かうなんてやっぱり熱血先生だったんだね…。




私じゃなくても…先生はきっと同じ事するよね??




今日は梨華と約束してるから早く仕事を終わらせたいのに、何も手につかない…。




教室のドアが開いた。




「日誌、書けた?」




下を向いたまま、何も言わない私を先生は覗き込んでくる。




「上原? どうした?」




「私の家庭訪問…ダメになったんですよね?」




答えは聞かなくても分かってる…。




先生は慰めてくれるかな…。




「いや…予定通りするけど?」




えっ…?? 何で??




ダメになったんじゃないの??




思わず顔を勢いよく上げた。




「だって、さっき校長先生がダメだって…」




「あ〜聞いてたのか?お前も俺と一緒でいい趣味持ってんな」




そういえば、昨日告られた時に先生に同じ事言ったんだっけ…。




「最後まで聞いてないだろ?」




だって聞きたくなかったんだもん…。




「どうせ盗み聞きするんなら最後までしろよな」




「はぁ…」




こんな事言う先生はめったにいないよ。