えっ………?




この曲…




毎日のように聞いてるから…




イントロ聞いたら、すぐ分かる。




智希からプレゼントされた…




あの歌…




歌い始めた智希は…




私の手を握った…




そして…繋いだ手を




脱いでた自分の上着で…




そっと隠した…




誰にも見つからない2人の空間。




お互い、強く握った。




まるで…愛を確かめ合うように…




智希が歌い終わるのと同時に口笛と悲鳴が入り混じる。




もうダメだ…




もう限界…




クラスのみんなの声が遠くに聞こえる。




「智希…もう頑張れない…」




「えっ?」




「私…智希と一緒にいたい」




騒いでるみんなには聞こえるわけないのに、そっと大事に言った。




2人の回りだけ…時が止まったように、私の心臓の音だけ響いてる。




「………俺も。もう絶対離さない」




泣いちゃダメだって分かってるのに…涙が勝手に溢れてくる。




智希と離れてる間、一生分の涙を流したはずなのに…




涙って枯れる事を知らないね…




もしも…智希と一緒になれない運命なら…




誰かに『死ぬ前に誰に会いたい?』って聞かれたら…




私は…迷う事なく…




『瀬名智希に会いたい』って言うよ。




それぐらい…智希を愛してる。