「でも…30日の夜は、何があっても絶対、会いに行くから」




えっ…? さっき、一週間は帰れないって…




言ったよね…?




「彩音の誕生日だもんな」




知ってたの!?




私…教えたっけ??




「その顔は、何で知ってるのって顔だな。大事な彼女の誕生日ぐらい知ってなきゃ、最低だろ?」




うれしいのに…




涙が溢れて、言葉が出ない。




「でも…行くとこ、九州だから、会えるのは…長くて3時間ぐらいになっちゃうけど」




九州!?




ここからだと…当然、飛行機で行く距離だよね?




飛行機代だって、バカにならないのに…そこまでして会いに来てくれるなんて…




私…何を心配してたんだろ?




中田先生との事で、ギクシャクしてたけど…




ちゃんと、私の事を想ってくれてるんだ…




「…大丈夫なの?」




「頑張れば、何とかなるだろ。ゴメンな…あんまり一緒にいてやれなくて…」




「ううん。その気持ちがうれしい。3時間でも一緒にいれるなんて幸せだよ」




智希に1番に『おめでとう』って言って欲しい…




親がいなくなってからは毎年、梨華の家で祝ってもらってた。




それも…もう卒業かな?




「何とか日にち、ずらしてもらおうと思って頑張ったんだけど…無理だった。いろいろ計画してたんだけどな…」




私より、智希の方がショック受けてる気がする。