(……だから失くすんだ…。何もかも……)
目が潤む。
やっぱおかしい。情緒不安定もいいトコ…。
「……夕夏?」
涙ぐむ私の体を澄良が包む。
人肌があったかい。
ほっこりする……。
「………何かあったん?…向こうで…」
澄良の質問にハッとする。
ーーー答えられない。
言えない。何もーーー
「な…何もないよ。ただ最近ちょっと…疲れとって……寝不足も重なっとったし……」
嘘を告げる。
デタラメばかりを口にする。
最低だ。私は……。
「そう?ならいいけど……ゆっくり浸かって。服は洗濯しとくから」
「ありがとう…ごめんね。本当にいろいろ…迷惑ばっかかけて……」
昨夜と言い今と言い、過去も現在も人を心配させてばかりいる。
情けない……。
やりきれない……。
ーーー冷えきった身体を引きずるようにお風呂に浸かった。
じわじわと感覚が蘇る。
指先が動き出す。
心も幾らか、あったまったーーー。
お風呂から出ると、海斗さん達が思い出話をしていた。
同級生3人の表情は明るい。
あんな楽しそうな顔で、私も話してみたい。
航との…思い出話を………。
「おっ…上がった?」
海斗さんが気づいた。
「は、はい。すみません…お世話になって……」
澄良のTシャツを掴む。
ニッコリ笑った海斗さんの横で、星流が声を上げた。

