春先の朝で新しい部屋は冷えていた。まだエアコンを設置してないから、厚着でカバーするしかない。

 パジャマの上にパーカーを着こんで、静かにドアを開けた。

 ・・・人のいる気配、なし。

 食堂兼居間の9畳の部屋の真ん中に置かれた机の上には一枚の紙。手に取らずに覗き込むと、細い線の文字が目に入った。

『仕事。火曜日の夜は毎週終電になる。』

 ・・・ソウデスカ。それは、ご丁寧に、どうも。

 ってことは、同居人はもう今日は日付が変わるまで帰ってこないのだな、と考えて、やっと気が楽になった。

 部屋の中でうーん、と伸びをする。私は今日、元々アルバイトが二つとも休みだった。よし、慌しくて住む用には全然なってないこの部屋を、ちゃんと片付けよう。

 そして、自分の頭も整理すること。

 目標が決まれば気持ちも落ち着いた。

 あとは行動あるのみ。うん、と一人で頷くと、ちゃんと着替えるために自分の部屋に戻った。


 時刻は朝の9時半だった。

 ヤツは一体何時に出勤したのだろう。それで終電までって、労働時間どうなってるの?

 うだうだ考えながら、近くのコンビニで買ってきた菓子パンを頬張る。立ったままで部屋を見回した。

 今日やるべきこと。

 1、台所を使えるようにすること

 2、自分の荷物を運び入れること

 3、各種届けに走ること

 順不同。