ボロボロと涙を流し続ける私を、央介くんがふわりと包むようにその広い胸に閉じ込める。

「俺ね、好きな子がいるんだ」

 央介くんの胸に額を預けていると、そんな言葉が頭上から聞こえてくる。
 先ほど口にした『ごめん』は、否定的な意味だったのか。
 だけど……央介くんに好きな女の子がいたなんて。
 あのバーで知り合った子かもしれない。

 ふと、この前の三人組の女性客が頭に浮かんだ。あの中の誰か…とか?

 私がもっと早く自分の気持ちに気づいていれば……
 そう思うと、また瞳から涙が零れる。

「ワガママなんだけど、かわいんだよね~。淋しがりやでさ。俺が本気でかまってあげないと、淋しくて死んじゃうと思うんだ」

「……え……」

大きな手で私の頭を撫で、するりと移動して、その手が頬を伝う涙をぬぐう。