淋しがりやの心が泣いた

 マスターや央介くんは、いつだって私にやさしく接してくれた。
 特に央介くんは頑固でワガママな私に甘かった。

 ……央介くんに、会いたい。

 淋しさと人恋しさ、それと……央介くんの顔が見たい。
 そんな想いから、私の足はあのバーへと向かっていた。

「こんばんは……」

 お店に入ると、この前来たときと同じように来店客でごった返していた。

 今日はイヴだから余計に混みあっているのかもしれない。
 カップルだけではなく、女性同士で来ている人も割と多い。

「南ちゃん、来てくれたんだね。」

 忙しい中、マスターが目ざとく私を見つけ、カウンター席に案内してくれた。
 マスターは髪が少し伸びただけで、いつもと変わらない。
 お店の雰囲気も、なにも変わっていない。

 ……あ、知らないスタッフさんがちらほらいるから、マスターが新たに雇い入れたのかもしれない。
 変わったところといえばそれくらいだ。
 私の落ち着ける場所が大きく様変わりしていないことにホッとする。