淋しがりやの心が泣いた

 十二月二十四日のクリスマスイヴを迎えた。
 仕事を定時で終えてビルを出ると、思いのほか風が冷たくて身を縮める。
 これからお気に入りのデリと小さなケーキでも買って帰って、今夜はそれを食べながら映画鑑賞だ。

 歩いているとバッグの中でスマホの着信音がした。
 誰から連絡が来たのだろう。今夜はイヴなのに。
 などと思っていたら、SNSで友だち登録をしている公式サイトからのお知らせだった。

 ふっと気が抜ける。
 メッセージアプリの画面を見ていたら、央介くんとのトーク履歴が自然と目に飛び込んできた。

『クリスマスはうちの店においで』

 一週間前、央介くんからそんな連絡が来ていた。
 だけど私は既読スルーを決め込んで、返信をしていなかった。
 だって、どう返事していいのかわからなかったから。

 プライドってほんとに厄介だ。自分を素直にさせてくれない。

 ……だけど今、どうしてこれを見返しちゃったのだろうか。

 見たら途端に淋しさがこみあげてきた。

 あのお気に入りのバーは、いつだって私の“受け皿”だった。

 淋しいとき、悔しいとき、ムカムカするとき、悲しいとき……
 何でも吐き出せて、心許せる場所だったのに。