淋しがりやの心が泣いた

「今日は俺、送っていけないけど……」

「わかってる!  じゃあね。バイバイ!」

 今日は酔いつぶれてもいないのだから、送ってもらう理由はない。
 しかも今、央介くんは仕事を抜け出してきていて、そもそも送るなんて無理だ。

 くるりと体の向きを変え、央介くんに背中を向けて足早に歩きだす。

「寒いから風邪ひかないようにね。変な男にさらわれないように、気をつけて帰るんだよ」

 後ろから央介くんの声がする。
 わかった! と返事をする代わりに、私は前を向いたまま右手を挙げて合図を送った。

 なんだか無性にムカつく。
 そして………どうしようもなく淋しい。

 淋しいのは大っ嫌いなのに。
 彼氏もいなければ、今日はたまたま女友達もみんなデートで忙しい。
 こういうときこそ、駆け込み寺であり、隠れ家的なあのバーがうってつけだったのに。

『南ちゃん、もしかして妬いてんの?』

 先ほどの央介くんの言葉が頭の中でリフレインする。

 ……バカじゃないの?
 どうして私が央介くん相手に妬かなきゃいけないのだ。

 やっぱり早急に彼氏を見つけよう。
 はぁ、と軽くため息を漏らしつつ、この日はひとり淋しくコンビニご飯を済ませた。