淋しがりやの心が泣いた

「やっぱり今日は帰ります」

「え?!」

 マスターが驚いたような反応を示したけれど、私はお財布からお金を出して代金を渡し、バッグを肩へ引っ掛ける。

「ごちそうさまでした」

「ちょっと待ってよ。せっかく久しぶりに来てくれたのに…」

 久しぶりにマスターのご飯を食べて、お酒を飲んでほろ酔いたかった。それだけだったのに。
 だけど今日のお店の様子では無理そうだ。とてもじゃないけど、居心地良くほっこりできないだろう。
 来店客が多すぎて、誰も私の相手なんかできないもの。

 ペコリとマスターに会釈をして、そっとお店をあとにした。

 正直言うと、私はイライラしていた。
 調子のいい言葉を残して戻ってこない央介くんを、まだかな?と待っている自分が嫌だった。
 なぜ私がヤキモキしながら待たなきゃいけないの、と。