淋しがりやの心が泣いた

「あとは、マスターに適当に作ってもらうのもいいよ。なんでもうまいから」

 “適当”って……なんだかその言い方が癪に障った。
 私には適当に作ったものを出しておけば、それでいいだろうと聞こえる。
 たしかになんでも食べるけれど。

「ちょっと、ごめん。すぐ戻るよ」

 こちらがなにか言い返す間もないほど、央介くんは慌ただしく三人組の女性客のほうへ行ってしまった。
 忙しいだけなのか、はたまた…央介くんが人気なのか。

 しばらくするとマスターがカウンター内に戻ってきた。
 だけど新たなオーダーを受けたのか、調理に忙しそうだった。
 私に「オーダーは決まった?」と、声をかけてくれたものの、話すどころではなさそうだ。
 とりあえずこれでもどうぞと、トマトとモッツアレラチーズのお通しのようなものを出してくれた。

 そして、央介くんはというと……
 すぐ戻ると宣言していたはずなのに、一向に戻ってはこない。

 彼女たちから新しく飲み物のオーダーがあり、それを作って持って行き、そのままそこでお喋りから解放されないみたい。