淋しがりやの心が泣いた

「南ちゃん、うちでバイトしてよ~」

 せわしなさそうにカウンター内で手を動かしながら、マスターが私に冗談を投げかける。

「しようかな、バイト」

「マジで?!」

「あ、うちの会社、バイト禁止でした~。残念!」

「はは。だよね~」

 冗談に付き合いつつ、マスターと中身のない会話を繰り返す。
 こんな風にゆるい話をするのも何気に好きだ。

「マスター、お腹すいた。今日はなにを食べようかな」

「南ちゃん、ごめん。ちょっとメニュー見てて?」

 そう言うが早いか、マスターが料理を乗せたお皿を持って、自らテーブル席のお客さんへ運んで行った。
 本当に忙しそうだ。
 いつもならホールは央介くんの担当で、マスターはカウンターの外にはほとんど出ないのに。

 央介くんはなにをしてるのだろう。
 何気なく彼の姿を探すと、私とは反対側のカウンター席のお客さんと話をしているのが視界に入った。

 ……女性客三人組だ。