淋しがりやの心が泣いた

 なにかないと来ちゃダメなのだろうか。
 と突っ込みたくなるほど、私のイメージは“愚痴”で固定されているようだ。
 そう思われていても仕方がないのだけれど。
 私はとりあえずいつも飲んでいるカクテルをオーダーした。

「それにしても、今日は忙しそうですね」

 普段は落ち着いた雰囲気の私のお気に入りのバーが、今日はざわざわとしていて来店客が多い。

「うん。最近ね、繁盛しちゃってるんだ。イケメンマスターのいる店、って口コミでも広がったのかな?」

「……あはは」

 たしかにマスターはけっこうイケメンだけれど、自分でそれを言うのかとあきれた視線を送る。
 ぐるりと店内を見回せば、以前よりも女性客がとても増えた気がする。
 みんなここのオシャレさと居心地の良さに気づいてしまったのかもしれない。

 お酒もそうだが、マスターが出してくれるご飯もおいしい。
 その割に価格は良心的なのだから、常連客が増えて当然だ。
 私みたいに仕事帰りの会社員が、同僚同士で寄って帰るにはちょうどいい。