淋しがりやの心が泣いた

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 それからしばらくは恋愛での男性との縁はなかった。
 季節は一ヶ月ほど進んで、凛とした冬の空気をまとい始める11月の終わりを迎える。
 仕事と女友達との交流だけの日常にスパイスが欲しくて、私は久しぶりに例のバーへと足を運んだ。
 
 央介くんと会うのは、この前酔ったときにおぶって家に送ってもらったあの日以来だ。
 私がバーに行かなければ会うことはないから、当然なのだけれど。

 実は央介くんから何度かメッセージは来ていた。
『また遊びにおいで』とか、そういう短文が多く、とてもあっさりしたものだ。
 私が『また行くね』と返事をすると、そこで会話は終わってしまうような内容ばかりだった。

「おぉ、南ちゃん。いらっしゃい。久しぶりだね」

 マスターが私を見た途端、若干顔を引きつらせた気がする。
 また今日も愚痴を言いにきたのか、と思われたのかもしれない。

「……なにかあったの?」

 私がいつものようにカウンター席に陣取ると、マスターが苦笑いしながら声をかけてくれた。

「今日はなにもないですよ。ここのご飯が恋しくなったんです」