『理事長…起きてたんですか』
そういいながらまた元の場所まで戻ると
理事長は面白そうに目を細めながら
『気づいてたくせによ。
まったく聞いてた通りだよ』
そう言って少し笑う。
『聞いてた?誰に何をですか?』
そういって少し首を傾げる私を見て理事長は、いたずらっ子のようにわらいながら
『暁だよ』
その名前を聞いた時、多分私の目はもはや現実をとらえていなかった。
頭の中では暁とかいう、調子乗りの大バカ野郎をどうやって苦しめようかかんがえているところだった。
私は少しイラついてまた短い髪をかきあげる。
そこから見えたピアスに、微かに理事長が目を開く。
『一応聞いてたんだけどな。
やっぱ自分の目で見てみると、やっぱりちょっと興奮しちまうわ』
私は理事長の視線を追って自分の耳に手をかけると、ひんやりと冷たい感触がした。
すぐに耳を髪で隠すと、また理事長に視線をうつした。

