ボコっ…バキッ…

絶え間なく殴る音が裏路地に響く。
しかし音がなり止むと、そこにあったのは真っ黒のパーカーを目深にかぶった女とその女の周りに転がっている男達だった。

『まじかよ…おもんな…』

女はそう吐き捨てると苛立ったように髪を耳にかける。
するとその耳には血のように真っ赤な桜のピアスが月の光で光っていた…。

そのまま女は興味がなくなったのか、その場を立ち去ろうと身を翻した。

しかしどこからかの音に気付き、耳を傾けた。

「…ヒック…ズビ…ヒック!」