「……あ、香咲さん」


空海君が何かを思い出したように

私の名前を呼んだ


『え? どうしたの?』


疑問に思って首を傾げると


「告白の時にさ

香咲さん、敬語だったよね?」


『あ……』


約束をした時の記憶が

頭の中で再生された


─じゃあ、もしまた敬語使ったら

ジュース1本奢りね


...私と空海君が初めて会った日だ

そんなことをふと思った


あ、でも


『空海君も敬語だったよね?』


「あ、気付いちゃったか

じゃあこれは無効だね」


少し残念そうな口振りでそう言った空海君

けれどその顔は


幸せそうな

満面の笑みだった