その日の帰り道

俺は隆司に詰め寄った。

「何でお前、あんな嘘…

真凛に言うんだよ。」

「嘘?嘘じゃねーじゃん?

入学してから何回告白されたよ?

真凛ちゃんには黙ってるみたいだけど~。

成績だって良いし!バスケだってさぁ

やたら上手くなってるし~

俺より後からはじめたくせに~!」

そう言いながら隆司は笑っている。

「それは…否定しない。

でも…

告白って言っても、顔も知らない奴に

言われたって困るだけだろ…。

そんなの嬉しいかよ?」

どうして俺の事何も知らないのに

好きになるんだよ?

何で簡単に告白なんかするんだよ…?

「俺は嬉しいっ!

も~っ!

これだからモテる男はヤダねー!」

「は?そういうわけじゃ…。」

「ハイハイ…まぁいいや。

じゃあさ、誰に言われたら嬉しいの?」

隆司がニヤリと笑って俺を見る。

「はっ?つーかっ…話し反らすなよ!

いい感じの子って誰だよ!

勝手に嘘言うなよ!」

「あーっ、あれか…

だってあれくらい言わないとさぁ

真凛ちゃんは自分の気持ち

わからないだろ?

足りないくらいかもな?」

隆司は笑いながら俺を見て

急に真面目な顔になった。

「だからって……。」

「赤ずきんちゃんはね

狼に食べられそうになって

コワイ思いしないと

自分の過ちに気がつかないの。」

「またかよ…何だよその例え話。」

「だからさ…俺は泰詩の苦しみを

代弁したんだぜ?これでもね。

最近のお前、ボロボロじゃん。」

「………」

「気づいてないと思った?

これでも、お前の友達よ?

泰詩さぁ~真凛ちゃんと

一緒にいたいくせにさぁ~

無理してさぁー。

帰り道、唯一話ができるのに

岸田ちゃんと話したりスマホいじりして!

挙げ句に、スタスタ歩いて行っちゃうし。

何なのあの、強がりっ!

真凛ちゃん…

あれは流石に寂しそうだったぞ?」

「俺だって、男の意地があるんだよ。

彼氏いる女にベタベタしたらキモいだろ。」

「はぁ?バカじゃね~の?

そんなの関係ねーだろっ!

お前の気持ちはどうなんだよっ!」

「…それは…っ。」

「嘘ついてもバレバレなんだよ…っ。

俺の前で強がんじゃねーよっ!

真凛ちゃんには悪いけど…

一番の友達は俺なんだよね。」

隆司はブイサインをしてみせた。