「渋谷くん…。」

「実はさぁ、入試の帰りに

お礼しようと思って

市ノ瀬さんを探したんだよ?

そしたらさ…彼氏がいた。

しかもかなりのイケメン…。」

「えっ?彼氏?誰?」

私…彼氏なんていなかったよ。

誰の事?

「仲原泰詩。」

「えっ?泰詩?

彼氏じゃないよ?友だ…っ」

あっ、もう友達でもないのかも…

泰詩は、私の事嫌いになったから。

そう思ったら胸の奥が痛くなった。

「彼氏かと思ったんだよ…。

だって、あまりに仲良さそうに

二人で話をしてたから…。

なんだよ~って思ってた。

でも、彼氏じゃなかった。」

「うん。」

「今は俺が彼氏。」

「……うん。」

「ありがとう、彼女になってくれて。」

私が渋谷くんを見ると

渋谷くんはまた私の顔を見つめてくる。

そして私の頭を軽くポンと撫でた。

「そろそろ、昼休みだから教室行く?」

「そうだね…。」

私たちが戻ると教室には、

女子が何人かいた。

皆、購買とか学食に行ってるんだ…

良かった。

「じゃあ俺、学食行ってくるから。」

「うん、じゃあね。」

渋谷くんは手を振ると行ってしまった。

「真凛!!」

「絵莉ちゃん。」

振り返ると泣きそうな顔した

絵莉ちゃんが私の所に駆け寄ってきた。

「どうしたの?!どこにいたの?」

「うん、ちょっと気分わるくてさ。」

「今の渋谷くんだよね?」

「うん…。」

「何で渋谷くんと?」

「……」

「もしかして?えっ?うそ?

付き合ってるの?」

私は、コクンとうなずいた。

絵莉ちゃんは、目をまんまるにして

驚いてた。