「……真凛。」

「……私…ずっと…ずっと」

そう言って真凛が俺の手を握りしめる。

俺は何か言おうとした真凛の顔を

見つめていた。

真凛の長い睫毛が涙で濡れていた。

真凛の冷たい手が

俺の手を握りしめている。

こんなに近くにいるのに…。

どうしようもない絶望感だった。

「何を言っても、俺はもう…

真凛と一緒にはいられないから…。」

そう言った瞬間…真凛と目が合う。

真凛の瞳が激しく揺れていた。

そして、君はゆっくりと

うつ向いてしまった。

しばらくして…

真凛は俺の顔を見上げて笑った。

その瞳には、もう涙はなかった。

「…ごめん、急に変な事言い出して…

やっぱり勘違いだったみたい…。

そうだよね…

いい加減、嫌になるよね…。

私は…大丈夫だから!

絵莉ちゃんと仲良くね…。」

そう言うと真凛は、俺の手を離して

背を向けて歩き出した。

「…ま…っ…!!」

大丈夫なわけがない…よな。

君は自分を抑えて我慢したんだ…。

本当は苦しくて仕方ないのに。

最後、俺に笑って見せた。

でも…肩だけはずっと震えていた。

君を、めちゃくちゃ傷つけた…。

その後ろ姿を見て…

君をこの両腕で今すぐ

抱きしめたい衝動を抑えつける…。

君が好き…。

俺は、バカだ。

でも君を守る為の嘘だった。

ただ君を守りたかった…。

…無視してごめん。

今この瞬間…君に

"好きだ"

そう伝えられたら…。

ずっとずっと大切な君へ。