「あっ、そう言えば…

今度クラスのやつに忘年会やろうって

言われてたんだよなぁ…。」

「忘年会…?」

「そう、期末試験が終わったら…。」

「泰詩って、ちゃんと友達いたんだね。」

「はぁ?お前、ナメんなよ…

いるわ!友達くらい。」

そう言って泰詩は笑っている。

「真凛は?」

「え…?」

「行く?」

「あ…まだわからないっ。」

「何で?女子は行かないの?」

「どうだろう…

行くんじゃないかな…。」

「…ふ~ん…なぁ、今…

岸田さんとケンカしてるんだって?」

「え…何で?」

「いや、岸田さんから

ケンカして気まずいって聞いたから…。」

「……」

「なぁ…大丈夫か?」

泰詩がコートの中の私を見ようとして

身を屈めてきたので私は咄嗟に言った。

「大丈夫っ!心配しないで!」

「…ならいいけど…長くない?

もう、2ヶ月くらい…。」

「だっ、大丈夫っだよ…!」

「さっきから…大丈夫ばっかだな…。」

「…だって…大丈夫なんだもん。」

「なら、いいけど…。」

そう言った泰詩の声は少し寂しげで

何か私に言いたそうで…

私の胸が締め付けられて苦しくなる。

泰詩…ごめんね…

いつも心配ばかりかけて…。

泰詩の優しい気持ち大好きだよ。

私はいつもこの優しさを

当たり前のように

受け取ってしまっていたんだ。

全然、当たり前じゃなかったのに。

私に…

好きって気持ちを教えてくれたね。

何もわからなかった私だけど

こんなにたくさんの気持ちを知れたよ。

だから今度は私が頑張らないと…。

もっと強くなりたい。

そしていつか私が思い描いたように…

真っ直ぐ生きていけたら…。

やっぱり私は…

あなたの隣で笑っていたい。

それが、どんなに難しかったとしても…。

今、やっとそう思える。