静まり返った雪道に二人の悲鳴だけが響く。

「痛ぇ…」

「痛いぃ…っ」

あれ…?痛くないかも……。

私は、とっさに痛いと口にしていたけど

それほど痛くない事に気がついた。

そしてその理由がすぐにわかった。

「真凛……大丈夫か?

雪があったから……

ちょっとクッションになったなっ。」

そう言って私の事を気遣う泰詩…。

私は泰詩の上に覆い被さる様に

倒れていた。

泰詩は、倒れた時に

とっさに私の下敷きになって倒れて

私の頭を両手で受け止めてくれていた。

その瞬間…泰詩の胸の中にいる事に

一気に顔が熱くなっていく。

それと同時に…

「…泰詩…ごめん……。」

私のした事で泰詩にまた

余計に迷惑をかけたかと思うと

申し訳なさで一杯になった。

「私って泰詩に迷惑かけてばっか……。」

そう言って泰詩の顔を見上げると

ちょうど、辺りの街灯にうっすらと

照らされた泰詩の顔が見えた。

「…本当にな…

…てかっ…何で急に暴れだすんだよ…?」

泰詩は、そう言って笑って私を見る。

「うん、ごめん…私…重いかなってっ…

そう思ったら気になっちゃって…。」

私がまた謝ると、泰詩は無言で

私を抱き起こして肩を支えながら立たせた。

「バカだな…んな事…気にすんなっ…

別に、真凛をおぶるくらい平気だよ。

暴れる方が危ないだろっ…。

たくっ…まぁ…いいや…

じゃあ、俺につかまれ…。」

そう言って私の右手を自分の右腰に

掴まらせると私の肩を支えながら

ゆっくりと歩き始めた。