だけどいつも通り、適度の距離が二人の間にはあって、会話もなかった。


ラッシュの電車の中で距離が近づいても、空気感は変わらず、この間と同じ駅で宗雅はあっさりと降りて行った。


なんなんでしょうか。


バッグを持っている手に力が入る。


結論。


きっと、ついうっかりしてしまった、だろう。


今までも、欲望のままに生きてきたんではないでしょうか。


だめだ、無視だ。


こっちもなかったことにする。


碧の中でどーんと怒りがわき上がっていた。