一体、何が起きたのかわからなかった。


ありえなくて。


思い出せば、またしたくなる。


もっと言えば、物足りない。


だめだ、帰ろう。


碧はキャビネのカギを何度か間違えながら施錠し、部屋を閉めるとM棟を出た。


「ちょうどよかった」


ふっといい香りがしたと思ったら、姿を現した。


「帰りましょう」

「カギを。
 警備室に置いてきます」


碧が早足で歩き始めると、やや後ろをついてくる。


さっきの行為について、なにか弁明があるのかと思っていた。