「え?ケビンが持ってきてくれたの」
「ええ。
ニコラスじゃ、役立たず。
フレッドはボスに説教中なので」
ケビンと呼ばれた男はにやっと悪そうに笑って、特大のスーツケースをソファーの横に置いた。
「フレッドが説教?
ケビンがするならわかるけど。
へえー、珍しいね」
「まあね。なにガキくせえことしてんだよ、と。
フレッド流にオブラートに包んで、詰めてるよ。
ほら、おれがやると、単刀直入すぎるらしいから」
麗華は何やら思い出したらしく、乾いた笑い声をたてた。
「フレッドの堪忍袋の緒が切れるなんて、一体、なにやらかしたの?」
ケビンが一瞬、言葉に詰まる。
「あぁー、これ?」
「これ?」
「つまりこういう状況になったこと」
麗華は困ったようにこめかみをなぜる。

