「腹が立つ」
すぱっと断つような口調に、碧はまじまじとみつめた。
「は?」
「初めての男があれだったとか?」
「へ?」
「ああ、そう」
八方美人男もどうかと思いますが、これほどのデリカシーのない男もどうかと思います。
言えないけど。
でも、瀬戸内と共謀して私を誘ったのではなかったのですね。
よくある賭けの対象になっていたかと、想像して傷ついては、いたから。
冷たいラッシーに口をつけた。
「何かおかしい?」
「へ?」
「顔が緩んでいる。
思い出し笑い?」
緩んでいた?
手で頬を抑えると、宗雅はくすくすと笑った。

