夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)



「こんにちは。
 ファイルの返却ですか?」


罰が悪かったので、碧の方で用件を促してみる。


「一旦・・・それで、ご都合のいい時に、教えていただけますか?」

「何を?」


またぶっきらぼうな言い方をしてしまった。


「あの、すぐにお答えできるかわかりませんので、事前に伺っておきましたら、調べておきます」


慌てて言葉を足す。


「ありがとうございます」


宗雅の笑顔は動じない。


「じゃあ、後で質問事項をメールさせていただきます。
 このファイル、倉庫に戻しますか?
 運びますよ」

「こちらで受け取ります。
 お気遣いありがとうございます」


このぶっきらぼうな女に対して、ここまでの譲歩の姿勢。


人間として負けた気分になり、碧はファイルを受け取った。


ファイルの重みは、自己嫌悪の重みと同じだ。