「え~、そんな寂しいこと言わないでよ」

「なにが寂しいんですか」

「うん、まあ僕はラブリーな奥さんが一緒だから」


引き寄せて、こめかみにチュッとキスした。


妻の桐子は苦笑いをしている。


「でも、ソウ君も寂しくないと思うわよ。
 駐在の奥様方、ひっきりなしにディナーの招待をしているでしょう?」


今度は宗雅が苦笑いになる。


「いや。
 寂しいね」


藤井はにやっと笑って決め付けた。


「本当なら一緒に招待されるべき人を逃したから」


桐子がまばたきを繰り返した。