「早く食べないと、時間、やばいですよ」 「あ、ほんと」 「え~、まだ飲み物来てない」 「いま、頼むね」 瀬戸内が店内にあわてて視線を流す。 宗雅はその様子に腹の中で鼻先で笑う。 こんな軽い八方美人の男とよく付き合ったもんだ。 大学生の頃だと、そんなものか。 職場に戻ると持って帰ってきた図録を引き出しに入れる。 どうしようか。 呼び出す? 持っていく? 延々と迷う。