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一年間の内、特別補助の見直しと科研を乗り切ったら、山を越したのと同じだ。


後は簡単な他大学からのアンケートや調査で済む。


それをこなしながら、今年度の整理と来年度の準備だ。


補助金の山を乗り越えた。


ということは、宗雅が聞きに来る用事はないということだ。


だからあれから姿を見ることはなく、電話もメールも、何もなかった。


ランチを買いに行く時に、姿さえ見かけなかった。


忘年会が、職員の若手とプロジェクトの数人と、グループで行われたらしい噂だけ聞いた。


かなり盛り上がったらしい。


庶務の後輩が、“内藤さん、カッコよかったです!”と目をキラキラさせて、トイレで語ってくれた。