言って、かわいく思ってもらえる年齢はとうに過ぎた。


この年では、それこそ都合のいい女か、愛人の台詞だ。


「ん、じゃあまた学校で」


学校で。


碧は無言でうなずいた。


かしゃんとドアが閉まる。


泣くとすっきりするのかな。


ドアを見つめながら思った。


でも。


ひどいことをされたわけじゃない。


合意の上で関係を続けたんだし。


しかも特上の男だ。


そして好きだし。


やっぱりアラサーにして、ラッキーだったんだ。


閉じられたドアをみつめたまま、碧は口の両端を無理やり持ち上げた。