こういうところに入るのは初めてではない。
でも久しぶりなのに、落ち着かなく周りを見回す。
そもそも男の人と自体が久しぶりなのですが。
ええと、私、大丈夫?
男の人と付き合ったことがあると言っても、一人だけだ。
しかも大学生の頃。
何年前?
それがこの百戦錬磨の大王を相手にできるわけがない。
無理。
回れ右をした。
そこにくるんと腕が回されて引き止められる。
「碧さん」
甘い声で名前を耳元で囁かれる。
おそるおそる振り仰ぐと、傷ついた顔をしている。
胸がずきんとして、碧はやや顔を俯かせると、宗雅の腕に従って開けられたドアから部屋に入った。

