夜のひそやかな楽しみ (Spin off 追加しました)



これで酔って可愛いフリなんてしたって、この恋愛の達人にはお見通しで、“あ~やってんな”って思われるだけだ。


そんな痛いことはできない。


碧は左右の足を交互に出すことに精神統一をしていた。


突然、腕がとられたのに、勢いで前のめりになる。


驚いて振り仰ぐと、宗雅があどけなく笑っている。


この人も酔っているのかも。


そんなことを思いながら見つめていると、腕を引かれた。


「こっち」


えっと。


行きは気にもしていなかったが、いかがわしい建物が並ぶ路地を横切ろうとしていた。


回らない思考で、腕が引かれるままついて行く。


「入ろう?」


はにかむような笑顔に碧の自制がとろける。


彼はアルコールが入ると、少年のようになるらしい。


なんだかかわいい。


碧は顔を緩めて、素直に入り口をくぐった。