「ちょっと担当者に質問してきます」
広げていた書類を束ねて立ち上がった宗雅へ、藤井はにやっと笑った。
「それって碧ちゃんの所だよね。
ホテルのこと、聞いてみるの?」
「なに言ってんですか。
この調査がわからないから行ってくるんですよ」
宗雅がにらんで事務室を出て行った。
「わかりやす」
その背をちらりと一瞥して、藤井は低い声で小さく呟いた。
そんな風に呟かれているとも知らず、宗雅はM棟の階段を一段抜かしで上がっていた。
「失礼します」
カウンターの方から聞こえてきたその声に、碧は一瞬固まった。
よりによって今日!?
「橘樹さん、今、よろしいですか?」
背後から声をかけられ、逃げられないのに碧は振り返った。

