「内藤さん、イタリアンお好きですか?」
聞きながら自然に、宗雅の片腕に両手でぶらさがるように掴んで歩き出した。
「武下さん」
自分で思っているよりも低い声が出た。
「一応、彼女がいるから、手を離してもらっていい?」
にっこりと脅すような笑いを浮かべると、ごめんなさい、と殊勝な振りをして謝った。
が、経験的に全然懲りていないのがわかる。
このタイプの女は扱いに困る。
口止めを頼んだら、それを利用して要求が高くなるのが目に見えていた。
これは作戦変更だ。
宗雅は背広の内ポケットからスマホを取り出した。

